恐山いた子の独り言

「定年後の個人起業」

七福神家の大家さんの友達で、大家さんが東北大学の薬学部に居た頃の同じ研究室の友達が、日本で2番目に大きな製薬会社の研究所に定年まで勤めていたんだよね。その人は、定年後に生命科学関係の物資を扱う中小の貿易会社の技術顧問になって活躍していたんだけど、最近、アドバイスを求める会社が増えたことで、個人起業することになったと言うんだよね。大家さんの友達って、東北大学薬学部時代の友達が多いから、ほとんどの人が薬学博士の学位を持って、大手製薬企業の研究所で働いているとか、大学の教授をやっている人が多くて、それぞれに優れた知識とか技術を持っているんだけど、定年後に個人起業したというのは初めてだったので大家さんも驚いているんだよね。大家さんに言わせると、労働力が不足しているといって、海外から「研修生」と称して外国人労働者を受け入れている時代に、60歳で定年になって元気でいる人達が働かないでいるのは人材の有効活用の方針に反すると憤っているんだよね。たしかに、今の人達は生体年齢が若いから、60歳過ぎても現役並みの活力と能力を持っている人が多いからね。要はその人の「やる気」と社会の受け入れ態勢の問題なんだよね。政府の方針としても、定年延長で各会社に働きかけして、制度を変えようとしているけどまだまだ行き届いてはいないよね。昔、韓国の電機メーカーが、日本の電機メーカーの研究所を退職になった人達を高給で再雇用して、その人が持っていた技術とか研究知識を自分の会社に移転して技術を発展させたという事実があるんだよね。人間の技術とか能力って、長い年月をかけて育成されるものだから、かかった年月分の価値があるんだよね。年月をかけて獲得した、一人一人の技術とか知識が会社とか社会の高い技術力を支えているのだから、その技術とか知識を持った人達を定年という制度で手放したら、会社としても社会としても損失だよね。最近、世界的に見ても、衰退傾向がある日本の工業力を下支えするためにも、退職した昭和の労働戦士たちに頑張って欲しいよね。

2022年10月17日