山の神の独り言
秋も深まり、紅葉の話題がニュースに出るようになっているよね。
秋って、森林においては、一年で最も良い季節なんだよね。少なくとも、山の神はそう思うわけよ。何故かというと、つきなみだけど紅葉がとても綺麗になるということと、紅葉の葉が落ちると、森林の中の見通しが良くなり、森の中の状況が良く分かるようになるんだよね。山の神は、「森林の透明感が増す」と言っているんだけどね。夏の間は、木々の葉が茂り、うっそうとして良く見渡せなかった森が、遠くまで見渡せるようになると、森林の透明感が出て来て、爽やかさが出て来ると共に、新しい発見もあるんだよね。例えば、複層林(成長した木の下の空いているスペースに別な種類の木を植林して森林の多様性を作る方法)にするために植林した苗木の成長を確かめるとか、ニホンカモシカがフンをした痕を見つけて、ニホンカモシカの行動範囲を確かめるとか、熊のフンを見つけて「熊出たんだ!」と警戒するとかで、葉が茂っている時は見えなかったものが見えて来るんだよね。山林管理の仕事としては、隣の山林との境界線に打ってある杭を確認する作業とか、木に絡んだツタを切る作業とかするんだよね。夏の間、葉が茂っている時期に比べると、森の中が歩きやすいし、作業もしやすいし、汗もあまりかかないので、山林の良いとこ取りが出来るんだよ。森の中で森林の息吹を最も感じるのが秋だから、山中を自由に歩き回って森林を楽しんでいるよ。