山の神の独り言

「春先に道路を横断する毛虫」

春先は、森林の緑が一斉に開いて、森が新緑に染まる時期だよね、つい2週間前までは葉が出ていない森で見通し良かったのが、あっという間に緑の葉で見通しが効かなくなるんだよね。新緑の季節は、希望の季節でもあるので、山の神としてはすごく嬉しいんだよね。緑に誘われて、虫たちも活動を始めて、蚊なんかにも刺されるようになるんだけど、自然の事だから仕方ないと山の神は思っているんだよね。春先の時期で山の神を悩ませるのは、「毛虫の道路横断」なんだよね。都会に住んでいて緑が少ない地域の人達はあまり目にすることは無いかもしれないけど、山の神が住む下北地域の様に、緑の中に町があるという環境では、頻繁に見る光景なんだよね。道路横断で見かける毛虫は、黒い毛むくじゃらのやつで、ひどい時は何匹も横断していて、車で踏みつぶすのも嫌だから、毛虫を避けて蛇行運転しなければならないんだよね。幸い、毛虫の横断している道路って、田舎道の舗装道路が多いので、多少蛇行運転しても事故を起こす危険性は少ないんだけど、それにしても危ないよね。山の神が調べたところによると、あの道路を横断している毛むくじゃらの黒い毛虫は、「シロヒトリ」という名前らしいんだよね。植生に特徴があって、食べ物を探して移動するらしく、移動の途中で道路に出て来るという事らしいんだよね。毛虫って他にも沢山いるのに、どうしてシロヒトリが多いのかは調査出来ていないんだよね。たまに緑色の毛虫なんかも見るけど、山の神の感触だと、95%くらいは、毛むくじゃらのシロヒトリだと思うんだよね。毛虫の食性が危険な道路横断を決行させているんだとしたら、シロヒトリも生存のために必死なんだなと同情するんだけど、道に何匹も居ると避けるのに運転が大変なんだよね。自然の中で自然と共存して暮らしている山の神にとっては、自然に支払う税金みたいなものだとあきらめてもいるんだよね。道路を横断しているシロヒトリ達には、車に踏みつぶされないように健闘を祈るだけだよね。

2023年06月12日