恐山いた男の独り言

「春を告げる山菜の味」

春になって色々な植物が芽吹く時期だよね、つい最近まで、葉が無くて見通しが良かった森林にも、若葉が芽吹いて、緑を取り戻しつつあるんだよね。七福神家の山の神は、この時期になると大家さんと一緒に春の植林の作業に精を出す時期なんだよね。緑が芽吹く前なので、七福神の森も見通しが良く、色々な山菜が目に付く季節なんだよ。山の神と七福神家の大家さんも、植林の合間に、山菜を見つけては収穫しているんだよね。春の山菜といえば「ワラビ」が最もポピュラーだけど、七福神の森にもワラビは沢山生えていて、山の神なんかワラビが好きなので、時々、植林を放棄してワラビ取りをしていて、七福神家の大家さんに叱られているんだよね。ワラビは、収穫した後に、冬の季節に暖を取るためテェピーテントで燃やしている薪ストーブの灰を使って「あく抜き」するとまろやかな味になるんだよね。一般家庭では薪の灰は無いので、重曹であく抜きするんだけど、重曹であく抜きするよりも薪の灰であく抜きした方が、味が良くなるんだよね。ワラビの他にも、タラの芽は天ぷらが美味しいので、「七福神の山小屋」にカセットコンロを持ち込んで天ぷらにして食べると、昼ご飯のおにぎりが一層美味しくなるんだよ。今年、新たにチャレンジしているのが、「山ウド」なんだよね。ウドってスーパーなどでも売っているけど、白い茎というイメージしか無いと思うけど、あれは栽培したウドなので、白くなるんだけど、山ウドの地下茎は白いけど、地上に露出している部分は緑色なんだよね。緑色だけあって、皮の部分は固いけど、独特の渋みと香りがあって、スーパーで売っているウドよりも味の深みがあるんだよね。自然の物って栽培物に比べて、味は洗練されていないかもしれないけど、自然の山菜は、ワイルドな風味があって独特の美味しさがあるよね。いた男は、七福神の森の植林には参加しないけど、山の神と七福神家の大家さん達が採取した山菜を家で満喫しているんだよね。

2023年05月12日