山の神の独り言

「穀雨」

穀雨という言葉は知っている人多いよね、「百穀を育てる春の雨」という意味で、二十四気の一つだよね。普段、街に住んでいる人にとっては、外を歩くと濡れるし、洗濯物は乾かないしで、雨はあまりありがたいものではないと思いがちだよね。でも山の神の様に、自然と調和しながら生きている「神」にとっては、とても身近な言葉なんだよね。特に春先は、例年、植林の季節なので、植えた苗が活着(根を張る)するには、雨が大変重要なんだよね。昔から、農業をやる人にとっては、春先に植える苗とか種が根を張り、芽を出すためには雨が必要なので、農作物を育てる恵みの雨を穀雨と呼んでいたんだよね。七福神家の大家さんも、山の神と一緒に植林の作業をしているから、この時期に雨が降ると「良い雨が降った!」としきりに言うんだよね。周りの人には何のことか分からないらしく「良い雨ですか?」と言われるらしいんだけど、植えたばかりの木の苗にとっては、生き死にに関わる恵みの雨になっているんだよね。普段は、雨の日の山林の作業は、濡れるし蒸れるしで快適ではなく、時には川が増水して川向うにある作業する森林にたどり着けなくなることもあるんだけど、春先の穀雨だけは、特別なんだよね。山の神も七福神家の大家さんも、植林の季節だけは、雨は大歓迎で、「今日は良い雨が降っている、植林には最高!木の苗が喜んでいる!」とか言って雨の中で植林の作業をしているんだよね。春先の植林の季節になると、普段森林作業にはあまり歓迎されない雨も、「恵の雨」になっていて、自然の恵みってありがたいなと思うんだよね。一般的には、普段あまり歓迎されない雨でも、自然と調和して生きる山の神には身近で、かつありがたい存在なんだよね。

2023年04月27日