山の神の独り言
「山の神、白銀の森でウサギを追う!」
七福神の森で作業していると、色んな動物に出くわすことが多いんだけど、ウサギって意外と見ることが無いんだよね。新雪に見つかる動物の足跡ではウサギの足跡が最も多いんだけど、雪原でウサギに遭遇することって足跡の数ほどは多くないんだよね。先日、七福神の森の揚野沢というところで、林内監視をしていた時なんだけど、当日は湿った雪が降っていて、木々に重い雪がべっとりとついている状態で、木々の枝も雪の重みで垂れ下がっていたんだよね。そんな中、杉林の中で青々とした葉っぱの杉の木が倒れていたのを見つけたんだよ。最近、その付近では杉の木を切った覚えはないので、誰かに切られたか?と思ったんだけど、どうやら雪の重みで木が折れたらしく、倒れた杉の木の先端部分がこんもりと雪をかぶって雪山の様になっていたんだよね。杉の木の先端って、枝と葉っぱが沢山あるので、雪をかぶると枝の中が空洞になって動物の住処に適した空間を作り出すんだよね。山の神も、何か動物でも居ないかなと思って、杉の葉に積もった雪を少し払ったら、突然白ウサギが飛び出してきて、雪の上をまっしぐらに逃げて行ったんだよね。山の神も突然の事だったので、「えっ!」とびっくりして、走り去る白ウサギを見送るしかなかったんだけど、杉の枝葉の雪室でのんびり休んでいた白ウサギを驚かせてしまって「申し訳ない!」と思ったんだよね。それにしても、走り去る白ウサギの美しかったこと、銀色の雪原にマッチした優美な走りだったんだよね。これからもあの白ウサギ達が、七福神の森で優雅に暮らせるように森を守らなくてはと思って、自然の大切さを再確認したんだよね。