山の神の独り言

「自然動物と人間の共存?」

七福神の森の管理をやっていて、時々思うのは、自然の動物達と人間の共存の、難しさという事なんだよね。数か所ある七福神の森のあちこちで作業していると、森の動物達の行動の痕跡に出くわすことが多いんだよね。日本カモシカの足跡とか糞とか、角を研ぐために木に角を擦り付けた痕とかなんだよね。地域によっては、熊の糞とか、熊が杉の木の皮を剥いで木部が露出した痕とかもあるんだよね。熊が杉の木の皮を剥ぐ時は、木部が露出するくらい厚く剥ぐので、その部分の成長が止まって、周囲の部分だけが成長するので、幹がへこんだ様な木になり、杉の木としての商品価値が無くなるんだよね。山を管理する立場から言わせると、迷惑な話なんだよね。でも山の神は、七福神の森は、熊が遊ぶほど豊かな自然があるという事だから、大目に見ているんだよね。昨年、雪が降る前に、七福神の森の烏山というところで、生え放題に伸びた笹を退治しようと思って、笹刈りをしていたんだよね。そしたら、たまたま地元の人が通りかかって声をかけて来たんだよね。その人が言うには、「この辺は熊が出るから気を付けてね、地元の人は熊を見かけても驚かないんだけど、他所から来た人達は熊を見ると大騒ぎして警察に通報して町内放送なんかが流れるんだよね。」「熊は未まだ良いけど、手強いのは猿だよ、畑の作物を根こそぎやられるので、この辺では、山林の近くで畑は出来ないんだよ。」等と言って、「それじゃ頑張ってね!」と言って去って行ったんだよね。山の神も、熊には何回か遭遇しているけど、普段から人間の存在を知らせるようにして林内を移動しているから、出合頭ということは無いんだよね。七福神の森では、猿には未だ遭遇していないので、遭遇したら背中を向けて逃げない、声を出して威嚇する、目をそむけない等の心得は常にしているよ。下北半島の猿って、「北限の猿」で天然記念物なので、猿とはなるべくトラブルを起こしたくないのが地元の人達の本音なので、「お猿様には手を出せない」のが現状なんだよね。そんな状況なので、「お猿様」は人間を恐れず、我が物顔で山野を闊歩している状況なんだよね。それだから、畑でもそれなりの被害は出ているし、かといって駆除も出来ないしで、ジレンマなんだよね。下北地域って、自然が豊富だから自然の中で人間が暮らしている状況なので、自然動物と人間の距離がとても近いんだよね。大昔からもともとサル達が住んでいた所に、人間様が入り込んだのだから、お互い様なんだけど、自然界の中で、人間が自然と調和して生きるということは難しいよね。

2023年01月12日