恐山いた子の独り言

「人を愛することは、人から勇気をもらうこと」

先日、七福神家の大家さんが、突然「なあ、いた子、人を愛することって、人から勇気をもらう事なんだよな!」と言い出したんだよね。大家さん熱でも出したのかと思って、「大家さん大丈夫ですか?熱測りましょうか?」と言ったら、「いた子、俺は熱など無い!先日、寒い朝に起きた時に、寒いな!起きたくないなという自分と、いや俺には愛する人達が居て、守らなければならない人達が居るから起きるんだ!という自分が葛藤して、結局すんなり起きたんだよね。」と言っていたんだよね。なんだ、そんな些細なことかよと思ったので、「え!朝起きるってそんな大それた葛藤が必要なんですか?」と聞いたら、「朝起きの問題ではなく、守らなければいけない人がいるという事は、その人を守るために頑張らなきゃ!という気持ちが湧いてきて、頑張るための勇気が湧いて来るんだよ!」「だから、守らなければいけない人がいれば、その人が自分に勇気をくれるんだよ!」と言っていたんだよね。まあ、大家さんが言いたいことは分った、こんなコロナ過での発熱なんかでなくて良かったと思ったんだけど、大家さんがいう事は少し納得したんだよね。ギリシャ哲学では、愛って、4種類に分類されていて、エロス(性愛)、フィリア(隣人愛)、アガペー(無償の愛)、ストルゲー(家族愛)とされているんだよね。その中でも、アガペーは最も尊い愛として、キリスト教の教えなどにも取り入れられていると言われているんだよね。大家さんが言っている「愛する人達が勇気をくれる愛」ってアガペーに近いのかもね。打算とか自分の都合から生じた愛だと、勇気が湧いて来る気がしないものね。大家さんが言うには、人間って人の親になったり、愛する人が出来たりすることで、初めて「無償の愛」を知り、それを貫くことで人間として成長するんだと言っているんだよね。確かに「愛の力」って大きいかもね、普段、ヘロヘロといい加減に生きている様に見える大家さんも、意外と真剣に愛について考えているんだなと、少し大家さんを見直したんだよね。


2022年12月28日