恐山いた男の独り言
「東日本大震災の教訓から思うこと」
東日本大震災から10年が経過して、報道番組でも色々報道されているよね。
いた男の大家さんも、長い間仙台に住んでいたことがあったから、10年前の震災当時は、映像で仙台の沿岸部が津波に飲まれていくのを見てショックを受けたと言っていたよ。仙台空港をはじめとして、自分達が仙台に居た頃に行っていた場所が津波に飲まれるのを見るのは辛かったと言うんだよね。
いた男は、津波の映像を見て思ったのは、こんな一瞬にして町が壊滅するということが実際に起こるんだという驚きだったんだよね。それまでも、チリ地震津波とか、秋田県沖津波とか、映像では見たけど、実際の津波が押し寄せて、家々が流され町が消滅するのを見たのは初めてだったのでショックだったよ。一瞬にして町が壊滅したり、人々が消えてしまうということがあるということが驚きだよね。
でも歴史的に見ると、イタリアのポンペイの例に見られるように、その様な事例は、歴史的事実として残っているんだよね。青森県の津軽地方に「東日流外三郡誌」(つがるそとさんぐんし)という古文書があって、その中に「津軽安東氏」の歴史が書かれているんだよ。津軽安東氏は、十三湖を拠点として交易船を有し、大陸と交易して栄えた一族だと言われているんだよ。でもその一族は、ある日突然に消滅して、その後歴史の表舞台の出ることは無かった一族なんだよね。「東日流外三郡誌」では、十三湖付近を襲った大津波ですべて流されて壊滅したと書かれているんだけど、誰も一瞬にして町が消えて一族が消滅するなんて信じなかったし、「東日流外三郡誌」の出自に関する疑問点も多くあり、「東日流外三郡誌」は偽書だと言われているんだよね。でも最近の発掘調査などで、津波で大量に堆積した砂の中から、当時の遺物が発見されて、十三湖の安東氏の歴史は見直されつつあったんだよね。
いた男も、当初は町とか文化とか一族が一瞬にして消えるということがあり得ないと思っていたんだけど、東日本大震災の映像を見て、歴史的真偽は別としても、安東氏を壊滅させたような大津波って実際にあるんだということを実感したんだよね。