山の神の独り言

「雪霧」

冬が終わる時期になると、気温が上がり、雪ではなく雨が降る日が多くなるよね。北国では、3月下旬辺りまで根雪が残っているので、気温が上がって雪ではなく雨が降ると、雪に落ちた雨が雪で急激に冷やされて、「雪霧」が発生するんだよね。
「雪霧」という言葉は、正式な気象用語ではないらしいんだけど、新潟など、根雪が多く残る地域では春先の雨で雪面から発生する霧の事を「雪霧」と呼んでいるらしいんだよね。
山の神が住む下北半島も、根雪の残る地域なので、3月になると雪霧が発生するんだよね。結構大規模に発生するので、高速道路の視界が悪くなったり、地上1メータ程度の部分だけ霧がかかっていたり、面白い現象が発生するんだよね。
雪霧が発生すると、交通などに支障は出るけど、白い雪面から上がる霧が、風に乗って、山々のすそ野を動く風景は幻想的で素晴らしいんだよね。霧って条件さえそろえば春夏秋冬出るわけで、それぞれの季節なりの趣はあると思うけど、真っ白の雪面から上がる雪霧は白と白が織りなすモノクロの世界が、冬の景色を一層盛り上げるんだよね。
雪霧が出ると、山の神は「春の先発隊が来たか」と思う一方で、一面に広がる雪野原を見ると「春は名のみの雪の冷たさよ」と思うんだよね。

2021年03月30日